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《サロメ》@ロイヤルオペラ・コヴェントガーデン [オペラ録音・映像鑑賞記]

salome-ROH.jpg 今年2月に英国ロイヤル・オペラ(ROH)に初お目見えとなった、デイヴィッド・マクヴィカー演出の《サロメ》が、早くもDVDになっています。

 他にも映像化してもらいたい演目があるのに(ジョナサン・ミラー演出の“コジ”とか。当然アレンが出てるヤツでお願いしますw)。よっぽど話題になったんでしょうかネ。

 まだ日本語字幕版がないのですが、技術協力として、お馴染みのOpus Arteと並んでNHKの名前もあります。日本国内のTV放送で視聴できる機会も、案外近いのかもしれません。

 幸運なことに、この演出の《サロメ》はROHにて鑑賞することができました。その時のレポと感想はこちらにあります。

 私がマクヴィカーという演出家を好きになった記念すべき舞台なのでして、また、ヨカナーン役のミヒャエル・ヴォレのセクシーな野獣っぷりに目が釘付けになった記憶も、いまだ色あせてはおりません。

salome-michaelandvolle.jpg

 自宅で冷静に鑑賞してみると、もちろん良い公演ではあるんですが、さりとてずば抜けて「名演」というわけでもなく、サロメのナディア・ミヒャエルの美しさと演出の秀逸さを楽しむのがメインだな~とは思いますが、私のしょぼいコレクションの中にこのDVDが加わったのは、《サロメ》好きとして大満足です。


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salome-dance.jpg 今回は詳細な感想を控え、見ドコロだけを簡単にまとめるだけにとどめますが、何といってもサロメのダンスが“泣ける”のです。通常「七つのヴェールの踊り」と呼ばれるシーンですね。

 オーソドックスな演出であれば、エキゾチックな音楽にのってサロメが一枚一枚ヴェール(というか、衣服)を脱いでいくというお色気シーンなのでありますが、マクヴィカーはここを単なるダンス・シーンにはしませんでした。少女が大人になって「男」を知るまでの過程の“痛み”を、象徴的で美しい「七つのエピソード」として観客に見せます。

 このシーンを久しぶりに見直して、改めてマクヴィカーのセンスが好きになりました。彼はゲイなんだそうですが、女性の心と、女性よりもはるかに研ぎ澄まされた美意識の持ち主が描くこのシーンは、私たち女性ですら既に忘れてしまっているような人生の「ある瞬間」を、幻想的かつあからさまに表しているのだと感じます。

 物語のラストでサロメは“処刑”されてしまいますが、彼女の死はある意味で救い。グロテスクで美しい少女期を過ぎると、女はみな、サロメの母ヘロディアスのような「何も感じないただのオバちゃん」になってしまいます。かく言う私も、もう手の施しようがないくらいにオバちゃんなのよね~;;;

 ただ、ヘロデに汚されて濡れネズミのようになって個室から出てきたサロメ――そんな娘の姿を見つめるヘロディアス(Michaela Schuster)の表情が、一瞬だけとても悲しそうだったのが印象的です。既にオバちゃん化している私がこのサロメを見つめる時、ヘロディアスと同じ目をしているのかもしれません。

salome-head.jpg

 ヨカナーンの首を手に入れてからのサロメの長いモノローグは、血に弱い方にはちょっとつらいかもしれません。白いドレスが、みるみるうちに真っ赤に染まってしまうくらいに大量です。

 ナディア・ミヒャエルは、私の求めるサロメの歌唱ではありませんけれども、迫真の演技は好感が持てます。今回は血の赤に助けられていたような印象もありますが、今後もっと歌えるようになるのだろうなぁと思います。

 ヴォレは、生で聴いた時のほうが、もっと声がビンビン響いていたような気がするんですけど……orz
 見た目は好みなのですが、声だけで言うなら、ジョン・ヴェーグナー新国のヨカナーン)のほうが肉厚で素敵でした。



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Salome: Nadja Michael
Herodias: Michaela Schuster
Herod: Thomas Moser
Narraboth: Joseph Kaiser
Jokanaan: Michael Volle

The Orchestra of the Royal Opera House
Conductor Philippe Jordan
Stage director: David McVicar


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コメント 13

彩

ロイヤル・オペラ、映像化に熱心ですね~。
「連隊の娘」もMETのライブビューイングの前にDVDになっちゃいましたし(日本語字幕付きは12月までおあずけですが)。
血に弱い当方としては、この映像はご遠慮申し上げたいですが・・・(汗)。

ところで、思い出したのですけど、ジョナサン・ミラー演出の“コジ”ってこれですか?
http://jp.youtube.com/watch?v=uD_68z1eMlk
(1997年のだそうで、アレンじゃありませんけど。)
by (2008-11-01 14:37) 

ドクターT

サロメは、テレサ・ストラータス主演のものをDVDで視ましたが、マクヴィカーという方の演出は面白そうですね!(^^)!

もっとも、イタリア・オペラの場合は、歌手がエエ声を出すのを邪魔するうような演出をされると、ブチ切れるのですが(ーー;)

あと、作家の塩野七生さんはサロメの行動は、小国の君主の娘という彼女の立場を考えると、政治的にまったく正しいものであり、彼女は利発で親思いの真っ当なお嬢さんだったとされてましたね(*^。^*)
by ドクターT (2008-11-01 19:23) 

Sardanapalus

>何といってもサロメのダンスが“泣ける”
マクヴィカーだからさぞかしおおっぴらに裸体になるのかと思いきや、精神的な部分を強調したダンスシーンでしたね。このシーンを見ているときよりもヨカナーンの首と一緒に歌っている姿を見ているときに心に響いてきたのを覚えています。鑑賞後に一緒に盛り上がりましたよね(^^)

ミッチェルは、歌唱は私も特筆するような部分が感じられませんでしたが、見た目や雰囲気がこの演出に良く合っていたと思います。ハイビジョンでアップになっても耐えられますしね(笑)私は「サロメ」はそんなに好きではないので、NHKが放送してくれるのを待つことにします。
by Sardanapalus (2008-11-01 20:47) 

しま

彩さん>
ROHにとってDVDも大事な収入源なんでしょうね。たくさん出てますよね。

>ジョナサン・ミラー演出の“コジ”ってこれですか?
それです。スコウフスがグリエルモなんですね。
アレンが出たのは、95年の初演と07年の2回だったかな。
by しま (2008-11-01 22:01) 

しま

ドクターTさん>
マクヴィカーの演出はかなり演劇的な色合いが濃く、歌手にもけっこうな演技力を要求します。歌を妨げるほどではありませんが。
なので、同じ演出でも歌い手が異なると、びっくりするほど印象が変わるんですよ。
by しま (2008-11-01 22:03) 

しま

Sardanapalusさん>
ちょ、ちょ、ちょっと待った…!! Nadja Michaelの正しいカタカナ表記は“ミッチェル”なんですか?
書く前にけっこう悩んだんですよ。外国人の名前って難しいなぁ。

>鑑賞後に一緒に盛り上がりましたよね(^^)
まだ1年経っていないのに、懐かしい感じがします。サルダナさんにマクヴィカーについてもいろいろと教えていただいたお陰で、2倍は楽しめました。

>おおっぴらに裸体になるのかと思いきや
うまく観客の期待を外してくれましたよね。
私は男性ヌードも大歓迎なんで、「しっかりと」目に焼き付けておきましたぞ(笑) 席もいい具合に近かったのよね~♪


by しま (2008-11-01 22:13) 

ヴァランシエンヌ

あらまあ、DVDになったんですか!
しまさんの実演鑑賞記を読んで、すごくそそられる演出だぁ~~と思ったので、これは見てみなくちゃ。

ナディア・ミヒャエル(ミッチェルでもどっちでもいいんじゃないかな?ミヒャエルだとドイツ語読みですね)は、4年前にベルリンで観た「ドン・カルロ」(パーペのフィリッポ)で、エボリ姫だったんですよ。

その頃はまだ、メゾソプラノの役を歌っていたと思いますが、最近はトスカとか、ソプラノ役を手がけるようになったみたいですね。
エボリのときも、10センチくらいありそうなハイヒールにミニタイトスカート、フィリッポとの濡れ場(笑)も、セクシーにこなしてました。

>既にオバちゃん化している私

何をおっしゃるんですか。同世代レデー(というか、ちょいと上じゃないですか、私の方が^^;)としては、許しがたい発言です(笑)
by ヴァランシエンヌ (2008-11-02 21:28) 

しま

ヴァランシエンヌさん>

>あらまあ、DVDになったんですか!
そぉなんざますのよぅ、奥さん(笑)

ナディア・ミヒャエルは怪しく美しいし、演奏も悪くないですし、男性ヌードは無修正ですし、ぜひご覧になってみてください。
でも、私の感動ポイントは皆さんとズレている時があるようなので、「何よ、レポと大違いじゃない!!ヽ(`Д´)ノ」だったらすみません;;;
よろしければお貸ししますよ?

>エボリ姫だった
なるほど、メゾだったんですね。そういえば低音がとてもきれいでした。
パーペとの濡れ場、想像しただけで萌えですねぇ(*´Д`)

>許しがたい発言です(笑)
ヴァラリンさんはちゃ~んと乙女でいらっしゃるけど、私はねぇ…;;;
「とうが立ったわー」と自覚する出来事が最近ありましてね…;;;
by しま (2008-11-03 00:44) 

straycat

あ、ヴァランシエンヌさんの次に貸してくださ~い!
(ヴァランシエンヌさん、初めまして♪)

こういうメリハリの効いた演出好きです。
日本のはオーソドックスでしたもんね。

それから今日はいよいよリゴレットですね(^^
楽しんできてください!
by straycat (2008-11-03 10:03) 

Sardanapalus

>Nadja Michaelの正しいカタカナ表記は“ミッチェル”なんですか?
書く前にけっこう悩んだんですよ。
あっ、そうか。彼女はドイツ出身者なので「ミヒャエル」ですね!どこかでミッチェルとしている表記を見たような気がしますが、おそらく私のが間違っています。紛らわしくてすみませ~ん。本当、人名表記は難しい…アルファベットは発音が関係なくて便利ですよね。
by Sardanapalus (2008-11-03 20:48) 

しま

straycatさん>
こんばんは。行ってきましたよ、リゴレット!! 期待の男声お二人は、さすがにちょっとお疲れぎみだったかな? ジルダはかなり良かったです。
感想記事、近々アップしますね♪

それから、サロメのDVD、喜んでお貸しいたします。漏れなくアレンのドンジョが付いてきますので、こちらもどうぞ可愛がってやってください(でも、あまり期待しないでネ;;;)
by しま (2008-11-03 21:48) 

しま

Sardanapalusさん>
ドイツ出身ですかー。
ヴォレも本来は「フォレ」じゃなきゃいけないんですよね。
「ヴォレ」でも「フォレ」でも検索にヒットするんですが、「フォレ」のほうがお褒めの言葉が多いような気がするので(笑)、今後はそっちに合わせようかな?
by しま (2008-11-03 21:56) 

ヴァランシエンヌ

straycatさん:
はじめまして(^^) お声掛け、ありがとうございます。
「サロメ」のDVDは、私は後回しで結構ですので(笑)お先にどうぞ、どうぞ。
(なんて、勝手に決めちゃってごめんなさい、しまさん^^;)

>アルファベット表記

もう、面倒ですよーー;どこぞの誰かさんは、昨年来日してくれたのは嬉しいけど、お陰でいろんな表記が増えましたから、最近はもう「ええいもう、フレキシブルにいろいろ書いとけ!」ってことで、ごちゃごちゃ取り入れてますよ…それでなくても、長くてややこしい名前なのに。
by ヴァランシエンヌ (2008-11-03 22:36) 

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