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グロソップ×ウ゛ィッカーズの『オテロ』/ヴェルディ:2 [オペラ録音・映像鑑賞記]

 土日はグロソップ×ボリス・クリストフ×カバリエの『エルナーニ』を繰り返し聴いていました。その後にまた『オテロ』を聴き直すと、楽曲のあまりの違いに驚き呆れてしまいます。
 これが同じ作曲家の筆によるものかと疑いたくなるくらい、ウ゛ェルディ後期の作品群は垢抜けていますね。

 先の感想で「ウ゛ェルディの感性は大ざっぱ」と書きましたけれども、それは天才モーツァルトのキャラクター造形の的確さや後輩プッチーニの心情描写の繊細さに比べてのこと。『オテロ』は、本家の戯曲よりもドラマのスケールがいくらか小さくなっていることですし、その分、音楽に「心理劇」と呼べるだけの要素が凝縮されているようです。

 ウ゛ェルディのオペラはウ゛ェリズモではないんだけれども、後期作品のアリアからは技巧を誇示する音符はほぼ消え失せ、感情をストレートに押し出す力強い旋律が主になってきます。やはりウ゛ェリズモ的であるわけで、そこにウ゛ィッカーズのような“ストリップ歌手”がオテロを歌う意義もあるのではないでしょうか。

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グロソップ×ウ゛ィッカーズの『オテロ』/ヴェルディ :1 [オペラ録音・映像鑑賞記]

 たまにはマジメに書かなくちゃ……などと言いつつ、上記のタイトル(意味がわからない方はそのままスルーしてください)。
 せっかく買ったDVDですが、スイッチが入ってしまったからには二度と正気では観られません。

 でも大丈夫。同キャストによるCDだって、ちゃ~んと手配しておいたんですよ。“絵”が無いぶん、歌唱の細かい部分まで集中して聴くことができます。

 映画のために先録りした音源のようですネ。

otello.jpg

 さて、グロソップのイァーゴ。
 さぞかし似合うだろうなぁと期待していた通り、陰と陽のはっきり分かれた理想的な歌唱です。豪快なオジさんと小悪党、それぞれの顔がイイ感じに現れたり隠れたりしています。
 そう感じられるのには、グロソップの声の音色が、ベースは明るいながらも、ときおり曇りガラスのような不透明感を帯びるからかな。

 曇り、湿り気、ヌルヌル感。コレ重要。
 カラッと明るい声であるほど邪心の無い(単純おウ゛ァカな)キャラクター性が際立つのに対して、声音に曇りが生じれば、とたんに歌詞の意味の裏表が気になってくるのですから。陰険なイァーゴにうってつけの声ってワケです。
 グロソップの場合、倍音が「曇って」聴こえるタイプのようですね。
 
 ただし、ウ゛ェルディの描くイァーゴは、全く陰険な感じがしませんね。やっぱりイタリア人なんですよね、ウ゛ェルディも。

 そりゃ「悪い人」というか「小悪党」って感じはしますけれども、憎めない。というか、単純でわかりやすい旋律なので、ぶっちゃけカワイイ(*´∨`)

 “クレド”でも、あっけらかんと悪徳を宣言しちゃってまして、裏も表もあったもんじゃない。
 シェイクスピアのイァーゴにはもっと後ろ暗いイメージがあります。例えばブリテンがこの台本に音楽をつけていたら……“クレド”だって、陰鬱で、それでいて悪魔的な悦びに身悶えするかのような、それこそ『ビリー・バッド』のクラッガートの独唱のようになっていたことと思います。
(それぞれの作曲家の個性なので……どちらが良いとか悪いとかではないです)

 かなり以前に、ローレンス・フィッシュバーンとケネス・ブラナーの映画『オセロ』を観たことがあります。ブラナーのイァーゴは陰険で小心、神経質そうなキャラでした。ワタクシ、シェイクスピアは全く門外漢の為、語る言葉を持たないんですが、たぶん、これがスタンダードなイァーゴ像なんでしょう。ブラナーの演技はかなり現代的とはいえ、人の本質は変わりません。

 さすがと言うか、英国人のグロソップはさまざまな声色を使い分けて、本家イァーゴの複雑な内面を表現しようとしていると思いますが、これが大雑把なタイプの歌手でしたら、単なる天邪鬼なオジさんみたいになるんでしょうか。いやグロソップだって結局そういう感じだし。

 むろん大雑把なイァーゴのほうが、オペラの『オテロ』的には“正しい”んだと思います。だって作曲者ウ゛ェルディの感性がそもそも大雑把なんですもん。
 グロソップの細けぇ表現力もヴェルディの(良い意味で)大味な楽曲の前には「無駄な足掻き」というか(笑)
 それだけヴェルディの個性って強いんでしょう。

 それはそうと、グロソップの歌唱は素晴らしいです。というか、好みです。

 重めの声でありながら弾力性に富み、高音の伸びの小気味の良いこと。トリルなんかもいとも簡単にやってのけちゃう。イヤホンなんかで聴いていますと、滑らかで、耳を舌でくすぐられるかのようで、とっても気持ちイイんです。
 重量歌手(体重じゃないですよ?)だからあまり小回りはきかないんじゃないかと思っていましたが、いやいや恐れ入りました。
 テクニシャンです。器用な喉をお持ちです:*:・テレ(*´エ`*)テレ・:*:

 お顔もサンダーバードですし……
  ※こんどは“猿の惑星”と言われました・゚・(つД`)・゚・

 ドニゼッティなども得意なようで、ベルカント系にあまり気乗りのしないワタシでも、この人の声ならけっこう楽しめちゃうんじゃないかしらん。

 んじゃ、お次はグロソップの『マクベス』を……といきたいトコロなんですが、ウ゛ィッカーズのオテロ歌唱にまだ触れていないんだっけ。
実は、このCDを聴いて粘着に語るべきなのはグロソップではなく、ウ゛ィッカーズのほうだと思うんですよ。

 ん~ワタシにとってのグロ様の弱点を一つだけ挙げるとすれば、ウ゛ィッカーズのような一度聴いたら忘れられない強烈な個性に欠けるって点でしょうか。
 もしくは、アレンみたいな「ツッコミどころ」が無いってトコロね(←鬼畜)

09/11/29追記: トーマス・アレンの“クレド”をネタにした記念に、お手本としてグロ様の“クレド”も貼っておきます。


 次回はヴィッカーズの歌唱について(。+・`ω・´)シャキィーン☆

シェリル・ミルンズの『タイス』/マスネ [オペラ録音・映像鑑賞記]

 4月頃からなんとなく始まったブリテン歌劇マラソンですが、さすがに三半規管がおかしくなってきた模様。確固たる調性を持ち(いやブリテンだって立派な調性音楽ですけど)、かつ、キャッチーなメロディ満載の演目が、にわかに恋しくなってきました。

 というわけでお砂糖たっぷりのお菓子のような、甘い甘~いマスネの『タイス』。

 そう、あのソプラノがテノールを捨てて、バリトンと街を去るという、

 まさに、セクシー芸人ブランク先生にピッタリの、

 イヤ~ン(((*´Д`)))クネクネ なはなぢ演目!


 ただし、残念ながら、ブランク先生による全曲録音は見つからなくて、逡巡の末に手に入れたのが、
↓コチラ。

Thais

 シェリル・ミルンズ(アタナエル)、ビヴァリー・シルズ(タイス)、ゲッダニコライ(ニシアス)です。

 指揮とヴァイオリン独奏はロリン・マゼール。老修道士パレモンにリチャード・ヴァン・アラン、ニシアスの女奴隷の一人にアン・マレイの名前も見られますし、なにげに豪華。売れ筋路線。買ったのは去年の12月です。

 それから約5ヶ月。最近になってようやく全曲攻略いたしました!!(`・ω・´) ……って、さすがに時間かかり過ぎダロ!

 いえ、ね、マスネは嫌いじゃないんですヨ。つか、好きです。そうでなくても萌え度300%のエロエロ演目。こーゆーのには目が無いはずのワタクシが半年近くもグズグズと鑑賞を先延ばしにしていたのは…

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まだまだやるゾ!『ビリー・バッド』/ウィーン国立歌劇場ライブ盤 [オペラ録音・映像鑑賞記]

 また『ビリー』か。いい加減にしやがれ!(`皿´)

 と思った方は、こちらで兄さんの輝かしい略歴をお勉強しながら話題が変わるのを待ちましょう。いやいやマジメな話、音楽的にもストーリー的にも久々にハマった演目なのでネ(*´∨`)

 お気に入り度はドンジョの次くらいじゃないかしらん。

 グロソップという好みの歌手にも出会えたし(またもや昔の人なんだけど)、オペラ聴いててよかったヨ~・゚・(つД`)・゚・と思える瞬間です。

(ウチは情報発信blogじゃなくて、完全に個人的な感想&お遊びの場。あまり読者のことも考えていませんので、その辺ひとつヨロシクです)

 さて、ブリテン自作自演盤はオッサン臭いグロソップ・ビリーやラングドンのセクシーなクラッガートが完全にツボで満足なのですが、一つだけワガママを言わせてもらえば、「敵船追跡シーンが物足りない」。
 迫力はあるのですが、なんかこう……演奏が小奇麗というか、お行儀が良いというか……。もうちょっと、ムサクルシさや汗臭さがあると聴いてて高揚するんだがなぁ、と思うのです。

 『ピーター・グライムズ』の聴き比べの時も感じたのですけれども、ブリテンってばカッコいい曲を書いてるくせに、自演では曲の魅力を100%引き出せてはいないようです。まぁ恐らくこれはブリテンに限ったことではなく、更には音楽に限ったことでもなくて、その作品の真の魅力や“売り”を嗅ぎつけるのは案外他人であったりするものです。

vienna-bbs.jpg というわけで、「ライブなら臨場感のある追跡シーンが聴けるかも」と、ウィーン国立歌劇場のライブ盤を買いました。

 直接の決め手は、CDケースの裏を見たら、ヴィア艦長役のニール・シコフの顔がスゴかったってコトなんですが。
 ちなみに、シコフはこちらの『ラ・ボエーム』DVDで兄さんと共演している関係で、なんとなく応援しているテノールです。彼も年をとりましたネ(DVDは1982年。CDは2001年2月)。

 もう一つの決め手は、新兵役でジョン・健・ヌッツォが出てること。妙~におホモちっくなかほりがしたNHK大河ドラマ『新撰組!』(2004年)の主題歌を歌う前にも、おホモちっくなオペラに出演していたというわけですネ。ウケます。
(しかも、とってもイイ仕事してます♪)
 

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