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『ピーター・グライムズ』/ブリテン自作自演盤 [オペラ録音・映像鑑賞記]

pg3
 まだまだ『ピーター・グライムズ』です。
 ついにブリテン自作自演(って言うとすごく胡散臭いですね)盤、ピーター・ピアースによるタイトルロール。作曲者自身の意図を直接体験できるというのは、現代モノの良さでもあり、窮屈に感じるところでもあります。

 演奏は良い意味でプリミティウ゛。さほどドラマチックに盛り上げず、結果、デイヴィスやハイティンクの指揮に比べて前衛的に聴こえるのが意外でした。

 作品が洗練され、成熟度を増していくには、ある程度の年月、さまざまな演奏家によって好き勝手にこねくりまわされる過程が必要なのかもしれません。
 音楽に限らず、芸術作品とは完成と同時に作者の支配下から離れていくものですが、思いもかけずその事実を耳元に突きつけられた感じがします。

 さて、ピアースの歌うグライムズですが、とあるブログで「白知美的」とありましたもので、ちょっと興味津々だったのです。購入の直接の決め手は、こちらの録音でアレンが歌った薬屋ネッド役を胡散臭い歌唱の得意なエヴァンスがやってるから!!(´∀`)っつう理由でしたが、それはさておき。

 ピアースの歌唱を聴いていると、「はたしてグライムズは、村人たちの危惧するように、少年を乱暴に扱っているのだろうか?」と首をかしげたくなってきます(なにしろ最初の刷り込みがヴィッカーズの歌唱だもので)。ピアースの声は艶と弾力のある、美しいテノール。荒くれた漁師には聞こえませんし、危機感や悲壮感も感じられない。ピアースとブリテンの関係を知った上で聴いているので、ばっちり先入観だとは思いますが、どうしても少年愛的に思えてしまうし。

 ピアースの歌唱はどこか脆弱で(声質はしっかりしたものですが)、未成熟なものを感じます。何か禁忌をおかして疎外されていった人間といった感じで(たぶん、それが少年愛?)、悪意に満ちていく周囲の変化に恐れおののき、正気を失っていく。元々が「生き難い」タイプのジョン・ウ゛ィッカーズとはもちろんのこと、悲運のロルフ=ジョンソンとも違います。

 死を選ぶのも、グライムズ自らではない。文字通り、ボルストロード船長の言葉に“従った”だけという気がするんですね。それが間違いだと言うわけではなく、いやむしろ、『ピーター・グライムズ』という物語の本来の姿であるのかもしれませんが。

(たぶん、もう少し語ります)

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Peter Grimes/Benjamin Britten

Benjamin Britten, Orchestra and Chorus of the Royal Opera House, Covent Garden

Peter Grimes: Peter Pears
Ellen Orford Claire Watson
Captain Balstrode: James Pease
Hobson: David Kelly
Swallow: Owen Brannigan
Mrs.Sedley: Lauris Elms
Auntie: Jean Watson
Niece1: Marion Studholme
Niece2: Iris Kells
Bob Boles: Maymond Nilsson
The Rector: John Lanigan
Ned Keene: Geraint Evans
John: Marcus Norman
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